FANTOM
FANTOMは、理化学研究所のマウスゲノム百科事典プロジェクトで収集された完全長cDNAのアノテーション(機能注釈)を行うことを目的に、林崎良英博士が中心となり2000年に結成された国際研究コンソーシアムです。その役割はトランスクリプトーム解析の分野を軸に発展・拡大してきました。また、プロジェクトの研究対象は、ゲノムの転写産物という「要素」の理解から、転写制御ネットワークという「システム」つまり「生命体のシステム」の理解へ、より高次の階層に向けて着実に進められています。
FANTOMは現在6期めのプロジェクトであるFANTOM6プロジェクトが進行中です。 各期のプロジェクトのページは以下からアクセス可能です。
- FANTOM6 - ノンコーディングRNAの機能解析
- FANTOM5 - 哺乳類プロモーター・エンハンサー・長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、マイクロRNA(miRNA)の発現地図
- FANTOM4 - 発現制御ネットワークの理解
- FANTOM3 - 哺乳類ゲノムの転写ランドスケープ
- FANTOM2 - 約6万個のマウス完全長cDNAコレクションの機能アノテーション
- FANTOM1 - マウス完全長cDNAコレクション(約2万個)の初の機能アノテーション
FANTOMプロジェクトで得られたデータやクローンは、「FANTOMデータベース」と「完全長cDNAクローンバンク」として世界中で利用可能です。FANTOMが整備したこれらの研究リソースは、重要な研究プロジェクトに使われています。たとえば国際ヒトゲノム計画では、コンピュータによって予測された遺伝子の位置(転写単位)を検証するために、FANTOMデータベースが使われました。京都大学の山中伸弥教授らは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立研究において、FANTOMデータベースから、細胞の初期化因子候補として24種の転写因子を選定しました。また、米国のAllen脳科学研究所(Allen Institute for Brain Science)がウェブサイトで公開している画期的な遺伝子発現情報検索サイト「Allen Brain Atlas 」では、マウスの脳の画像をクリックするだけで目的の遺伝子発現情報を取り出すことができますが、ここにもFANTOMプロジェクトの研究リソースが使われています。